マツのみらい商店

大人も子供も楽しく学びあえる場作り=21世紀の学びを日々研究。日本で唯一の北欧流ビジネスデザインアカデミアLeare Academyの1期生。真剣な課題を面白く、面白い課題を真剣に。 年中夢求で営業中です。

物語「モモ」=現代のブランド人

この春、LINEを退職してZOZOTOWNに転職された田端信太郎さんの新刊「ブランド人になれ!」が、ビジネス書として爆発的に売れています。

 ボクも既に読了し、少なからず考えることがありました。書評なども既にたくさんの方が書かれていらっしゃいますね。

ボクはこのオレンジの表紙を見て、ふと思い出した本があります。それがこちら。 

この「モモ」と言う本は、旧西ドイツの児童文学作家のミヒャエル・エンデが書いたもので、日本では1976年に刊行されています。

実に42年前。田端さんが生まれた翌年です。そして偶然にもカバーの色も似ていて(笑)、伝えているメッセージの本質的な部分も似ているのかな、と思います。

違いはビジネス書なのか、児童文学かの違い。自由で心豊かな人生を考えるために、子供達への学びという点では「モモ」という本は時代を超えた良書です。

勿論、子供達にいきなり「ブランド人になれ!」を読ませても良いとも思いますが、また違った視点でストーリーがある物語から、未来の学びや働き方について考えてみるのも良いのでは?と思います。

40年の時間差を超えて共鳴するメッセージを一緒に考えて、未来を考えてみましょう!

 

 

①共通ポイントⅠ:灰色の男たちに時間倹約を契約した人々=社蓄

フリーランス・個人事業・プロジェクトベースの働き方が少しずつ台頭しています。彼らは楽しそうに働いていますが、モーレツに努力している人たちばかりです。

また、サラリーマン=イケてないのか?というと勿論そうではありません。田端さんのような方もいらっしゃり、他にも沢山の「輝くサラリーマン」はいらっしゃいます。

でも一方で「社蓄」とか「ブラック」という言葉は相変わらずあちこちで耳にもするわけです。「社蓄&ブラック」の定義とは何なのでしょう?よく聞かれるのは「安月給で終電まで働かされる」とかいうもの。でも、これは少し違うな、と思うのです。

社蓄か否かの決定的な違いは「支配された時間を生きているか否か」です。自由で豊かな「自分の人生」を歩んでいる人の中にも、薄給でメチャクチャ働いている人はいます。目の輝きの差は、お金や労働時間ではなく、誰かによって「支配されている時間の差」これだと思います。

沢山の給料をもらっていても死んだ魚の眼みたいな人は、誰かに搾取された時間の中で何かをやらされてしまっている方々。時間を手放す(=灰色の男たちとの契約)をしてしまったその時から、人は社畜になっていくのです。

 

②共通ポイントⅡモモ=ブランド人

「モモ」という本のタイトルは、この物語の主人公の名前。年齢も素性もわからない浮浪児で、組織された社会とは無縁です。現代のように完全に組織された社会は、モモのような浮浪児を許しはしないでしょう。

でも、「モモ」の物語のなかでモモに相談を持ちかける人たちは話を聞いてもらって、モモに見つめられてスッキリと心穏やかになるのです。

それは時間を倹約した引き換えに、自然のままの豊かな気持ちに触れることができたからなのでしょう。

実際、ボクたちも例えば田端さんのような人の「生き方」「言葉」に触れることで、あるいは直接お会いして話すことで、話を聞くことで変化を感じることはよくあります。

一見すると「あいつは大丈夫か?」「あんなこと言って大丈夫なの?」と心配されてしましますが、なんとも不思議な力を持っている。

モモと田端さんのようなブランド人、なんか似ている気がしませんか?今はまだ超少数派ですが、未来モモのような人は増えるのでしょうか?

 

③共通ポイントⅢ灰色の男たち=?

物語の中では悪役のテイストで書かれる灰色の男たち。物語の中では以下のようなことをしてくる人という設定です。

 ・「よ暮らしをするため」と時間を倹約させようとする

 ・子供たちにも同様の考えを押し付け遊びを奪う

 ・「将来のためになる」と勉強を強要してくる

 ・灰色の男たちに異を唱えると狂人扱いされ精神病院に隔離しようとする

 ・情報と「時間」という数字で人々を操ろうとする

このような人、現代にもいますよね?「いるいる!」となりますが、どういった人たちがしっくりくるでしょうか?

部長・課長といった上司?中小企業のワンマン社長?怪しげな情報商材を売ってくる詐欺師?色々な捉え方ができますが、わかりやすいのは「おっさん世代」の存在でしょう。

newspicks.com

この記事にも書かれていますが、別に中高年を指すわけではありません。

旧来の社会のあり方、既得権益を守る思考、変わりたくないという思考、できればあまり考えずに生きていたい人・・・

そういう人は社会的立場や年齢に関係なく「灰色の男たち」に近い存在なのかもしれません。

でも。

これって灰色の男たちと時間倹約の契約を結んだ人にも似ているんですよね。違いは支配されているか・支配しようとしているかだけ。あとは、強いていえば情報や知識の量が違うかもしれない。

損をしたくない・自分が利益を得たい・自由な発想をする奴は危険だと避難する…結局のところ灰色の男たちは、苦しむ社蓄と同じ側でマウントしているだけなのかもしれません。

 

④現代で「モモ」になるための小さな習慣づけ

ブランド人=モモとそうではない人の違いは「支配された時間」の有無。大人も子供も、幾つでもどこで生活していても無意識のうちにも支配されてしまえば危険です。いつも時間に追われ、ピリピリしていて、目が死んでいく。

言い方を変えるならば、どんな職業でも立場でも「支配」という文脈の外にいれば、自分で考え行動し結果的に豊かな人生になります。

支配の文脈から自分を解き放つ簡単な習慣は「考える時間を持つ」ということだと思います。今や情報は山ほどあります。多くの人に会うこともできます。「まず動く」これもやろうと思えばやれる時代になりました。

逆に多すぎる情報や機会を操れず、考えることを放棄してしまった人が危ない。そこで大人も子供もできる簡単な習慣は二つです。

 ・全ての人の話は50%で聞くようにする

 ・1日に10分、音も情報も無い「何も無い時間」を作る

この二つだけです。数年前から「マインドフルネス」という言葉や習慣が流行っていますが、それはまさにこの考え。

何も無い時間があってこそ、豊かな自分の人生を作ることができるのだと思います。そしてどんなに素晴らしい人の考えであっても、それはあなたの人生そのものではありません。だからこそ「話半分で聞く」で良いのです。

もちろん同時に、全ての人の話を50%は参考にさせてもらうことが大切です。

 

⑤エンデが提唱した「地域通貨

さて、いかがでしたでしょうか?モモとブランド人の共有点については以上ですが、最後にこの時代に関わる興味深い話も少し付け足しておきます。

soldie.jp

エンデはモモの中でも示唆していて、ご自身が別の場でも「地域通貨」という考え方を提唱しています。

灰色の男というのは、不正な貨幣制度の受益者で、お金を預けて利子を得るという話が裏側にあるのでしょう。

 これは現代において、まだ大きな声になっていませんが少しずつ生まれつつある思想。それは「トークンエコノミー」というものです。

仮想通貨などに興味を持たれている方はご存知の方が多いと思います。今は投機的な意味の方が大きいですが、トークン、そしてエンデが提唱する「地域通貨」は、本当の自由や幸せと健全で価値のある経済の未来について考える際に、とても示唆に富んでいるものだと思います。

こういった点も子供たちと一緒に考えられたら良いですね。

 

ではでは!